片山杜秀『音盤博物誌』
2008/6/27 (金)
数日前、菊地成孔のマイルス・テイヴィス研究本を編集した田口寛之さんから、増刷したというメールをいただいた。定価4700円の本としては快挙である。以前この日記で書いた片山杜秀の『音盤考現学』も増刷を続けているようだし、ピータ・バラカンの『魂(ソウル)のゆくえ』もよく売れている。
いずれもディスク・ガイドだが(ピーターの本はそれだけではないが)、共通しているのは、カタログ的に並べた本ではなく、そのアルバムが存在している背景がきちんと説明されていたり、あるいは想像をふくらませて書かれた本であること。こういう本が好評ということは、音楽をアット・ランダムにではなく、ある程度まで系統だてて聞きたい人が存在しているということだろう。
バブルの末期には、DJ感覚で歴史や系統にかかわりなく音楽と出会うことの楽しさを味わった人が多かったようだが、その風潮が去ってみると、音楽に物語を求める人が目立つようになったということか。ぼくはもともとそっちの志向が強く、日本語で読める基礎的な資料が増えるのはありがたいかぎり。書かれている物語をうのみにするのではなく、ものさしのひとつとして参考にすることで、ずいぶん重宝させてもらっている。ま、『音盤考現学』の続編『音盤博物誌』を読んで日本の現代音楽のCDなど買いこんでしまったので、聞く暇をどうやってみつけようかと頭を抱えているのだが。
Comments