清水哲男『月がとっても青いから』、ジョゼフ・タワドロス、『fROOTS』誌 the best of 2012
2013/1/18(金)
ひょんなご縁で年末にお目にかかった勝久律江さんから、鹿児島市在住の作家清水哲男の『月がとっても青いから』(中央アート出版)をいただいた。
京都市の西南部の下町の長屋に暮らすやんちゃで素直な小学生の哲男とその家族、友人、長屋の住民らをめぐる連作短編集だ。タイトルは祖父が好きだったという菅原都々子の歌謡曲のタイトル(歌詞でもある)による。
作品はいずれも哲男の視点から描かれている。作者は京都出身なので、自伝的な要素もあるのだろう。時期は60年代前半だが、職人さんの多い長屋の暮らしには、経済成長にひた走る60年代前半の社会の変化以上に、戦前から連綿と続く歴史の光と影が色濃く残っている。
「春を呼ぶ声」「おおきに、ほなな」「働く手」……手厳しい祖母や住民のまっとうな暮らしぶりから、知恵や優しさや反骨精神が浮かび上がってくるところに強くひかれた。
京都弁まじりの笑いと哀愁がほどよく配合された文章なので、重い話の部分も軽やかに読ませる。ぼく自身の祖母が使っていた「走りもと」のような古い言葉を思い出させてくれたことにも感謝したい。勝久さん、どうもありがとう。
2013/1/16 (水)
夜、橋本の杜のホールはしもと多目的室で、ジョゼフ・タワドロスのコンサート。
この人はエジプト生まれ、オーストラリア在住のウード奏者。いろいろアルバムを出していて、リチャード・ボナやジャック・ディジョネットと共演した「フュージョン」的なアルバムもある。
本人はウードはほとんど独学のようなものと言っていたが、たしかにこれまであまり聞いたことがないタイプの演奏だった。たとえばマカームにもとづく即興のタクシームからして、不思議な指づかいがあり、ハーモニック奏法で終わった。誤解を恐れずにいえば、パンク感覚で弾く元気のいいウードと形容したくなるような曲もあった。着地点がはっきりしない分は、早弾きやかき鳴らしで補っているようにも思えた。会場で買ったCDを聞いてみたら、古典色の強い演奏もやっているので、多様なスタイルに挑戦中の人なのだろう。
2013/1/15(火)
イギリスの『fROOTS』誌のCDのthe best of 2012です。
1 Sam Lee / Ground Of Its Own
2 Jim Moray / Skulk
3 Lau / Race The Loser
4 Karine Polwart / Traces
5 Emily Portman / Hatchling
5 Staff Benda Bilili / Bouger Le Monde
7 Fay Hield & The Hurricane Party / Orfeo
8 Bellowhead / Broadside
9 Mokoomba / Rising Tide
9 Ondatropica / Ondatropica
ワールド・ミュージックのCD新作の少なさを反映して、UKのフォーク系の音楽がぐっと増え、昔の『Folk Roots』の時代に戻ったかのよう。
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