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March 04, 2013

野間易通『金曜官邸前抗議 デモの声が政治を変える』

2013/3/2 (土)

 野間易通の『金曜官邸前抗議 デモの声が政治を変える』(河出書房新社)を読了。
 あらためて説明する必要はないかと思うが、2012年の3月29日から首相官邸前で行なわれてきた反原発運動の推移を、呼びかけ団体の首都圏反原発連合のスタッフである著者が11月の時点でふりかえってまとめたものだ。
 この運動についてはさまざまなことが言われているが、政治団体や労働組合主導ではないストリート感覚の政治運動がここまで大規模に起こったことだけでも、歴史に残る大事件であることにまちがいはない。
 呼びかけ人側の報告は手前味噌になりがちという常識とちがって、冒頭で、最大規模の人が集まった6月29日の様子がややたかぶった気持ちで報告されている他は、おおむね時系列にそって、現場で何が起こったのか、スタッフが何を考え、どう対応してきたのか、メディアはどう反応したのかといったことが、おさえた筆致で書かれている。スタンドプレイではなく、いかにして地に足のついた運動を持続していくのかを考えて、こういう冷静な報告が当事者から発表されること自体、この運動の素晴らしさを物語っていると思う。
 淡々と書かれているが、書かれていることはすこぶるおもしろい。
 この抗議行動が法律的にはデモではなく、そのため規制のうるさい国会周辺でかえって大規模な抗議運動が実現できたこと、一人でも多くの人が参加しやいすいようにと考えて企画した渋谷などでのにぎやかなデモより、ずっとハードで地味な官邸前抗議にそれ以上の人が集まるとは呼びかけ人すら当初は予想していなかったこと(少なくとも著者は)、怪我人や逮捕者を出さないで運動を続けるために苦心したこと、組織的でない運動体のメンバーが首相と面会して要求を述べたことの意味など、なるほどと思うことばかり。
 著者は『ミュージック・マガジン』の元編集者で、ぼくも原稿を担当してもらったことがある。編集部にいたときから名文を書く人だった。さすがである。
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