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March 08, 2019

シャマン・ラポガン(夏曼・藍波安)『大海に生きる夢』

2018年12月22日((土)
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台湾原住民タオ人の小説家シャマン・ラポガン(夏曼・藍波安)のヘテロトピア文学賞の受賞式に行ってきた。@ 本屋B&B 下北沢
20分余りの受賞のスピーチは感銘深いものだった。漁労と農耕で暮らしてきた彼の両親は「漢人の学校の中で決して賢くなるな。漢人の社会で賢く生きれば生きるほど、わたしたちの社会では馬鹿者になるから」と説教した。彼は台北で勉強した後、故郷の蘭嶼島に戻って、両親の言うように、舟作りや素潜りの漁の生活を学んだ。
しかしその文化を伝えるために、彼は民族の表現方法まじりではあるが、漢字で小説を書かなければならなかった。彼の身体に身についた知恵は、貨幣経済にのみこまれたこの時代の島でどのように受け継がれて行くのだろう。「わたしはずっと馬鹿者だと思います」と彼は言っていたが、そこにはいろんな意味がこめられているように思えた。
会場には漢人の台湾文化センター長もいて、シャマン・ラポガンを称える祝辞を述べた後、漢人に対する批判を黙々と聞いていた。原住民に対する配慮を忘れないセンター長の気持ちも小説家の胸の内に劣らず複雑だったことだろう。
台湾政府が原住民を同胞と呼んで同化させようとしたように、中国も同じことをしようとしている。彼はある年、作家協会から招かれて北京に行った。彼を迎えたのは「ようこそ祖国へお帰りなさい」という盗っ人猛々しい言葉だった。誇り高い彼はこう語った。「わたしの身体が海洋文学です。わたしは海上に生きる遊牧民族です。だからわたしの祖国は荒々しい海です」と。
彼の小説では歌が生活に不可欠な要素として存在している。会場で彼が即興でうたった歌からもその重要性が感じられた。

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